世界では、毎日約2億匹の動物、30億匹の魚が人間の食用にされるため殺されています。
動物や海洋生物を殺して、その体を食べるだけではなく、卵や乳製品など、本来動物のものである一部を奪って生産される食品も含めれば、膨大な数の動物が人間に搾取されていることになります。
本来、動物は自然界において家畜動物のように膨大な数になるほど繁殖することはありません。
これらの動物は人間が消費するために、本来の生態を捻じ曲げて飼育されているのです。
世界中の人が一斉に一夜にしてビーガンになるとは考えにくいですが、COVID-19パンデミックを経験した人類は、動物利用について再考し、よりクリーンなビーガンミートや植物性ミルクを求めるようになってきています。

企業はそれに応じる製品に移行し、消費者の需要に応じて動物性食品の生産は徐々に減少していくでしょう。
動物搾取のない世界ではどのようなことがおこると考えられるのでしょうか。
何十億もの動物の苦痛をなくせる
多くの畜産農場では、動物は窮屈な状態に押し込まれ、家族を育てたり、食物を探したり、本来の生態にかなった自然な行動をとり、寿命を全うすることは決して許されません。
ほとんどの動物は、食肉処理場に向かうトラックに積み込まれる日まで、背中に太陽の暖かさを感じたり、新鮮な空気を吸ったりすることさえありません。
また、抗生物質の過剰投与は、多くの耐性菌が出現し、新たな人獣共通感染症の原因ともなり、深刻な病気を抗生物質によって治療することができなくなります。
動物たちの苦しみをなくすためには、動物を食べないことを選ぶより良い方法はありません。
飢餓を救う
国連によると、世界の人口は2030年までに86億人、2050年までに98億人、2100年までに112億人になると予測されています。
また、国連食糧農業機関が示すように、現在、世界で9人に1人、7億9,500万人が慢性的な栄養不足に悩まされています。
しかし、現在、私たちは、地球上のすべての人に必要な食糧の1.5倍以上の量を生産しています。
十分な食糧を生産しているにもかかわらず栄養不足に陥り食料を必要としている人々が存在するのは、その膨大な量の作物の多くが畜産動物を育てるための飼料となっていることが原因です。
「Independent」誌は、世界の最も深刻な飢餓を根絶するには4000万トンの食糧が必要だと主張していますが、オーツ麦、アルファルファ、トウモロコシ、大豆など、その約20倍の量の穀物が、毎年、畜産動物のために生産されています。
➡Five things would happen if everyone stopped eating meat
これらの食品を動物の肉を通して摂取することは、カロリーの観点から見ても非効率的です。
1ポンドの豚肉を生産するには、約6ポンドの穀物が必要です。ある研究によると、植物性作物の生産は、畜産動物の飼育より1900%多いたんぱく質を得られることがわかっています。
➡The opportunity cost of animal based diets exceeds all food losses
さらに、米国だけでも、動物性食品をすべて植物性食品に置き換えれば、3億5千万人の人々に十分な食料を供給することができます。
地球がよみがえる
畜産農業は、数え切れないほどの環境問題の原因となっています。
畜産により排出される温室効果ガスは、自動車、バス、電車、飛行機、ロケット船を合わせた交通機関全体よりも多く、植物性の食品は、どのような生産方法であっても排出量がはるかに少ないのです。

「Scientific American」誌によると、約680gのジャガイモを生産する為に排出される温室効果ガスは、小型車を0.17マイル運転するのと同じ量ですが、その半分の量の牛肉を生産すると、同じ車を9.8マイル運転するのと同じ量が排出されます。
2016年に発表された報告書は、世界の人がVeganになった場合、2050年までに地球上の食品関連の排出量は70%減少するといいます。
➡Veggie-based diets could save 8 million lives by 2050 and cut global warming
また、畜産には膨大な土地が必要です。「The American Journal of Clinical Nutrition」誌に発表された研究によると、肉食はVegan食の17倍の土地と14倍の水を必要とすることが判明しています。
➡Sustainability of meat-based and plant-based diets and the environment
オランダの科学者たちは、もし誰もが肉を食べるのをやめたら、牛の放牧に使われている土地のうち27億ヘクタールが利用可能になり、現在家畜の飼料用作物の栽培に使われている土地のうち1億ヘクタールが利用可能になると予測しています。
農業が地球に与える影響を最も包括的に分析した結果、植物をベースにした食事が気候変動に最も効果的であることがわかりました。
この研究を主導したオックスフォード大学の研究者ジョセフ・プーア氏は言います。
ビーガン食を採用することは、温室効果ガスだけでなく、地球の酸性化、富栄養化、土地利用、水の利用など、地球への影響を減らすための最大で唯一の方法です 。

野生動物の絶滅を防ぐ
種の損失は喫緊の課題であり、人為的な問題です。
「サイエンス」に発表されたレビューによると、種の絶滅率は人間が存在する以前の1000倍にも達しており、多くの科学者は、この問題を地球上で6番目の大量絶滅と呼んでいます。

人間が食べるために飼育する動物が種の絶滅の第一の推進要因であること、すなわち、家畜のために人間が土地を開拓したことによる生息地の喪失が原因であることに同意する研究者は増えています。
WWFがまとめた「肉食者が地球を破壊する」と題された報告書によると、動物製品の過剰な消費が生物多様性の損失の60%を占めており、その中でも飼料用作物の生産が最も深刻な影響を与えているといいます。
➡Meat eaters are destroying the planet, warns WWF report
海では、海洋動物もまた、漁業によって危険にさらされています。
ウミガメ、クジラ、イルカ、アザラシ、絶滅の危機に瀕している魚など、何十億もの動物が、漁師の網に誤って入り込み、捕獲され、殺されています。

PNASの研究によると、現在、野生動物は地球上の生物のわずか4%にすぎませんが、家畜は60%を占めています。
➡The biomass distribution on Earth
もし世界が動物性食品の消費を止めれば、地球上の動物の個体数はバランスを取り戻すことができるでしょう。