食肉処理場は動物と労働者の苦痛・搾取を象徴している

牛Environment

COVID-19パンデミックにより、米国では、食肉処理場の多くの労働者が感染し、中には死に至り、屠殺場が閉鎖される事態となっています。

2019年、ヒューマンライツウォッチは米国の食肉処理場労働者の権利に関するレポートを発表しました。

When We’re Dead and Buried, Our Bones Will Keep Hurting

屠殺場での作業は、過酷でリスクが高く、労働者は深刻な怪我や死を引き起こす可能性のある、鋭利な工具や工業用機器を使用し作業しています。

肉体的な怪我のリスクに加え、多くの労働者に、うつ病やPTSDなどの精神疾患も報告されています。

食肉処理場と加工施設は、動物の苦痛と死、労働者の搾取を象徴しています。

日本でも、米国産の牛肉、米国のファストフードチェーン、レストランなどで牛肉、豚肉、鶏肉製品を購入した場合、本レポートの対象範囲に含まれる企業から購入している可能性が高いと思われます。

しかし、幸いにも、私たちはビーガンライフスタイルを採用するだけで、この搾取と苦しみのサイクルをサポートしないという選択ができます。

牛

約15年前、ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書「血と汗と恐怖」は、米国の食肉・鶏肉産業における労働者の権利の侵害を助長する政府の政策と商慣行を文書化したものでした。

BLOOD, SWEAT, AND FEAR―Workers’ Rights in U.S. Meat and Poultry Plants―

それ以来、消費者は、動物がおかれる環境、抗生物質の広範な使用や環境への影響に至るまで、畜産業に対する様々な懸念を認識するようになってきました。

しかし、人道的に飼育された動物の肉を買おうとする良心的な消費者であっても、この認識が、この業界で、厳しい条件のもと、危険な仕事をしている人々を人道的に扱うことを企業に要求するものではないことに気づかないかもしれません。

屠畜機械

技術の進歩にもかかわらず、この仕事はまだ人の手に依存しています。

何十万人もの女性と男性が、肉を生産するために、動物の殺傷と切断を行っていますが、そのほとんどの人は、動物を分解する複雑なプロセスのひとつを担当し、常に移動して流れる機械の一部として働くことを余儀なくされています。

食肉処理産業に従事する労働者の、職業上の怪我や病気は、最も高い発生率であり、彼らの生命を脅かす可能性のある危険に満ちた環境で働いています。

機械部品を動かす作業は、破砕、切断、創傷、火傷、などの外傷を引き起こすことがあります。

ナイフ、フック、ハサミ、ノコギリなどの工具は、切ったり、刺したり、病気を感染させることがあります。

毎日、何万回も力の入った動作を繰り返すことで蓄積する体への負担は、重度の障害を引き起こす可能性もあります。

鶏

鶏肉の食肉処理と加工を行っている企業は、製材所、産業用建築物の建設、石油・ガス井の掘削など、一般的に危険と認識されている多くの産業よりも、米国労働安全衛生局(OSHA)に重度の負傷を報告しています。

これらのデータによると、2015年から2018年の間に、食肉・鶏肉業界の労働者が体の一部を失ったり、入院治療のために病院に送られたりする事故が1日おきにおきていたと言います。

また、2013年から2017年の間に、毎年平均8人の労働者が、業務中の事故が原因で死亡しています。

この報告書では、鶏、豚、牛の屠殺・加工工場で働く労働者の間で、重傷や慢性疾患の発生率と、職場の危険性を曖昧にすることで労働者を危険にさらす商習慣について説明しています。

豚

この報告書がインタビューした労働者のほとんどが、仕事が原因で重傷を負ったり病気になったりした経験を語り、その経験を裏付ける傷跡、擦り傷、指の欠損、関節の膨張、腫れを見せてくれました。

中には、ストレスや精神的な負担を常に受けていることを説明し、涙を流した人もいました。

ほとんどすべての人が、工場内でも家庭でも、慢性的な痛みや病気のケアを中心とした生活を送っていると説明しています。

他の多くの、危険で低賃金な産業と同様に、食肉処理場も、最も疎外されたコミュニティの労働力に依存しています。

この産業で働く労働者のほとんどは有色人種で、多くは女性で、3分の1近くが移民です。

悩む人

食肉・鶏肉産業の労働者の賃金は、1983 年に製造業の全国平均を下回り、1985 年には 15%、2002 年には 24%、現在は 44%低下しました。労働者の収入は平均して時給15ドル以下です。

利益を追求するために、食肉・鶏肉の屠殺・加工会社は、生産量を最大化し、生産速度を速くすることで人件費を最小限に抑えようとしてきたのです。

食肉や家禽の屠殺・加工作業で必要とされる、反復性の高い、力のこもった動きを複合的に行う高速ラインでの作業によって、労働者の間に、筋骨格系の病気は驚くほど多いものでした。

特に、鶏肉工場で働く労働者は、慢性的な呼吸器疾患、その他の健康問題を引き起こす刺激性のある化学物質にもさらされています。

牛

インタビューに応じた労働者は、事故報告や治療を阻害する慣行があり、一部の労働者は適切な健康管理を受けることが困難であると報告しています。

工場の保健施設を訪問した後、医師の紹介を受けるまでに何週間も、時には何ヶ月も待たされることもあったと言います。

労働者の中には、ラインを動かし続けなければならないという上司からの絶え間ない圧力があり、時には侮辱や屈辱を伴うこともあると述べています。

生産スピードを確保するために、一部の労働者は、監督者が、トイレを使用することを認めなかったり、来ないかもしれない交代要員を待つように要求したり、結果としておむつをしている同僚もいると述べました。

過酷な労働条件、休憩なしの長時間労働、および高い生産ノルマは、適切な衛生管理や、安全で健康的な労働条件に対する労働者の権利を損なう可能性があります。

人がどのように身体機能を管理できるかは、人間の尊厳の根幹をなすものです。