家畜は野生哺乳類に比べ動物由来感染症ウイルスを8倍多くヒトと共有

ぶたEnvironment

米カリフォルニア大学デービス校と豪メルボルン大学の共同研究チームは、2020年4月8日、学術雑誌「The Royal Society(英国王立協会紀要)」に、「狩猟や売買、生息環境の悪化など、人類による野生動物の搾取により、ウイルスに感染した野生動物とヒトとの密接な接触が促され、ウイルス流出のリスクが高まる」との研究論文を発表しました。

ここでは、動物由来感染症を引き起こす既知の142種類のウイルスと、その宿主とみられる動物のデータを分析しています。

Global shifts in mammalian population trends reveal key predictors of virus spillover risk

ぶた

この研究発表により、家畜は、野生の哺乳類に比べて、動物由来感染症を引き起こすウイルスを8倍多くヒトと共有していることがわかりました。

野生動物を含む哺乳類で、ヒトと共有されているウイルスの数が最も多い上位10種のうち8種が家畜で、ブタ(31種のウイルス)、ウシ(31種)、ウマ(31種)、ヒツジ(30種)、イヌ(27種)、ヤギ(22種)、ネコ(16種)、ラクダ(15種)、でした。

上位10種の家畜以外の野生動物は、ハウスマウス(Mus musculus)とブラックラット(Rattus rattus)であり、それぞれ16種と14種の人獣共通感染症ウイルスが検出されました。

野生動物

また、家畜がもつウィルスは、野生動物種とも共有されていました。

野生の哺乳類と家畜化された哺乳類との間のウイルス感染は、原宿主である野生哺乳類が家畜化される過程でウイルスを共有していったのではないかと推測されています。

世界的に分布する家畜種と、野生の肉食動物の間の密接な系統的関連性は、種を超えた病原体の感染の機会を強めています

こうもり

一方、霊長類、げっ歯類、コウモリ類は、家畜化された種や他の野生動物種とはあまり関係のない人獣共通感染症ウイルスを保有しています。

これは、家畜化されたウィルス宿主のように、他種間でウイルスを共有することなく、直接、人に感染し、人獣共通感染症ウイルスを共有していることを裏付けています。

また、人間による狩猟や売買、環境破壊による生息環境の悪化によって個体数が減少している絶滅危惧種は、これらの要因以外で個体数が減少している種に比べて、動物由来感染症を引き起こすウイルスを2倍多く有しリスクが高くなっています。

アライグマ

研究論文の筆頭著者であるカリフォルニア大学デービス校のクリスティーン・ジョンソン教授は

動物からのウイルスの流出は、野生動物やその生息環境に対する人類の行動の直接的な結果として、動物たちが我々とウイルスを共有することになってしまった。

我々は、野生動物との関わり方、人類と動物との共生について十分に注意する必要があります。

と警鐘を鳴らしています。