日本の食需要を満たすため生きたまま空輸されるカナダの馬たち

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カナダでは、一年間に、3400頭の馬が、生きたまま輸出されています。

そして、その多くは日本で屠殺されています。

カナダの動物保護団体 The Canadian Horse Defence Coalitionは、この現状を変えようと行動を起こしました。

今回は、この活動を取り上げた、記事を紹介します。

Canada is a go-to source of horsemeat. These activists are trying to change that.

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小さなクレートに閉じ込められる馬たち

馬術家から動物保護活動家に転身したシャノン・マン氏は森の中に座り、食料、トイレットペーパー、ビデオカメラを用意して、アジアの屠殺場に向かう馬をトラックが迎えに来るのを待っていました。

彼女はグーグルアースを使ってアルバータ州の田園地帯を調べ、カルガリーから南に2時間のところにある肥育場の場所を突き止めました。

マン氏は、トラックが到着するまでの8時間、ゲートを見張っていました。

彼女はカルガリー空港に隣接する駐車場で、ベルギー産の馬が閉じ込められた木箱が、主に日本行の飛行機のカーゴに積み込まれていく様子を何百時間も撮影していました。

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カルガリー国際空港から、消費のために輸出される馬(出典:Defend Horses Canada

マン氏は、カナダの動物衛生規則を学んでいますが、体高が14hh(約143㎝)以上の馬は、自然な姿勢で立つことができる大きさのコンテナに入れて単独で輸送することが義務付けられています。

しかし、彼女は3~4頭の大型馬のグループが、耳が上から突き出るほど天井の低いクレートに積み込まれているのを日常的に目にしていました。

「十分なスペースがあるはずがありません」と彼女は言います。

彼女は撮影した映像を3分間のYouTubeビデオに編集し、2012年にCanadian Horse Defence Coalitionのシニッカ・クロスランド氏に提供しました。

多くは日本に送られている

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2018年には、約3,400頭の生きた馬が人間の食料とされるためにカナダから海外に輸出されています。

そのほとんどが日本に送られ、その肉は薄くスライスされ、刺身のように生で食べられたり、ご飯の上に乗せて食べられたり、網の上で焼かれたりしています。

この市場は何十年もの間、世間の目に触れることなく運営されてきました、その理由は、消費者の目に触れることを恐れたからでしょう。

カナダで馬はコンパニオンアニマル

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バンクーバー島のダンカンにあるレスキューファームでは、屠殺を避けた馬たちが飼育されている(出典:MACLEANS)

カナダの馬肉生産者の一人は、Maclean’s誌にこの取引を擁護する見解を示しましたが、活動家の非難を浴びることを恐れて、匿名を条件に話をしました。

「カナダの馬は家畜であり、他の家畜と同じように考えるべきです。彼らのビジネスは、馬を処分する必要がある所有者に、「サービスと金銭的利益」を提供します。安楽死させると、獣医費用や薬代、処分費用などで数千ドルかかることもあるのです。」

多くのカナダ人は、馬を家畜よりも犬に近いコンパニオンアニマルと見なしているので、それを食べるという考えは忌み嫌われています。

保護グループは、彼らが屠殺されるために販売されているオークションハウスからできるだけ多くを保護するために動いています。

法廷闘争よりも動物の虐殺を終わらせたい

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しかし、この取引を終わらせる方法を見つけることは困難であることが証明されたため、クロスランドの団体は、活動家が撮影した写真を証拠として、動物の不適切な輸送方法を焦点にして、連邦裁判所に提訴しました。

そこでは、カナダ政府が、あまりにも小さいクレートで大型馬の輸送を許可することはカナダの動物福祉規制に違反していると主張しています。

裁判は、第一審は敗訴し控訴しました。

しかし、活動家たちは法廷闘争より、何よりも、食肉用の動物の殺戮を完全に終わらせたいと考えています。

もしあなたが屠殺されるためにこの世界に誕生させられたとしたら、それはどんな人生なのでしょうか

とクロスランド氏は言います。

従来にはないレベルの注目と怒り

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出典:Canadian Horse Defence Coalition

この事実が明るみになると、従来にはないレベルの注目と怒りを集めました。

クロスランド氏によると、この事件が2018年夏に始まって以来、約300人の支持者が新たに参加し、45,000ドルの寄付金が寄せられています。

ソーシャルメディアで拡散している人の中には、ケイト・ドラモンドやジャン・アーデンのようなスターもいて、彼女の32万人のツイッターのフォロワーとメッセージを共有しています。

メディア報道では、カナダが取引に関与していることに驚きを表現する多くのコメントと、馬を食べるべきかどうかについての議論を提起しています。

しかし、誰もがこの事実に対し嫌悪感を共有しているわけではありません。

馬肉は、ケベック州の肉屋や食料品店、モントリオールの高級レストランのメニューで今も見られます。

生きた馬の取引は、カナダの荷主に2000万ドルの売上をもたらします。

この国からの冷凍馬肉の輸出は、2018年には4900万ドルの利益があり、馬肉、ラバ、ヒニー(雄馬と雌ロバの交配種)などが含まれています。

輸出先のトップは 日本、米国、フランスです。

アメリカはほとんどの馬の屠殺場を閉鎖

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アメリカは、馬はもはや屠殺のために出荷されていない画期的な国です。

アメリカの動物保護活動家たちは、馬の屠殺場に大きな圧力をかけ、ほとんどの屠殺場が閉鎖されました。

米国議会は、食用馬肉の販売を直接禁止する代わりに、食肉検査官への資金提供を停止し、2007年には事実上、国内販売を停止しました。

法に反した行為

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出典:Canadian Horse Defence Coalition

カナダでは、保護団体の努力はアメリカと同じ成功を収められませんでした。

生きたまま輸出される馬の写真が表面化するまでは、グループはカナダでの馬の虐殺を止めることにその努力を集中していたのです。

空港で馬が積み込まれている写真が表面化したときにすべてが変わりました。

これは法に反した行為です。

このケースを担当した、バンクーバー動物法に詳しい弁護士Rebeka Breder氏は、クレートのサイズ規制には理由があると言います。

馬はパニックに陥りやすく、もたれかかるセパレーターがないとバランスが取れません。何もセパレーターがなければーこれまでにも起きたことがあるのですがー馬が転倒することがあります。

密集したクレートの中で馬が倒れると、パニックが起こり、一緒にクレートに入れられた他の馬が踏みつけられて死んでしまうこともあります。

裁判の証拠として提出された、カナダ食品検査局の記録によると、2008年から2013年の間に、2件、9頭の馬が輸送中に死亡しており、そのうち6頭は飛行中に死亡しています。

日本の需要を満たすために

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出典:Canadian Horse Defence Coalition

日本の馬も食用にされていますが、需要を満たすには十分ではなく、それゆえに輸入されています。

刺身にされる魚と同様に、新鮮馬肉が珍重され、カナダの放牧地から8000キロもの距離を飛ばし、馬を日本の食卓に運んでいます。

日本の大手ECサイトである楽天の馬肉の価格は、高級品で1㎏あたり126ドルです。

カナダの精肉店では

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カナダでは、馬肉は牛肉よりも安いと、あるモントリオールの肉屋は言います。

「食べられないと思っている人はたくさんいる。犬を食べないのと同じです。」と彼は言います。

しかし、馬肉は牛肉よりも赤身で健康的だと彼は付け加えます。

鉄分不足を補うために購入する人もいれば、低脂肪高タンパクを求めるアスリートもいる、と言います。

彼の店では、牛肉の価格が非常に高いため、馬肉の売り上げは上がっています。

一方で、馬肉の取り扱いをしない精肉店もあります。

バンクーバーにある「All Natural and Exotic Meats」では、カンガルー、鹿肉、エルク、バッファローを販売していますが、馬肉を売ることは考えていないと言います。

精肉店の経営者は、「馬は素敵な動物だし、私はそれを食べたいとは思わない。馬肉を買いたいという依頼がありますが同じことを言っています」と言います。

バンクーバーにあるJackson MeatsのオーナーであるChris Jackson氏は、これまで一度も馬肉を求められたことがなく、仕入れるつもりもないといいます。

「動物保護運動が盛んなバンクーバー州では、馬肉を販売するのはリスクが高いと考えています。もし販売すれば、抗議する人がドアの前にいることでしょう。」