英国の哲学者レイ・モンク氏は、畜産農業の破壊的な地球環境への影響を知り、家畜たちが強いられた悲惨な現状の写真を見るなどして、ビーガンになることを決めました。
レイ・モンク氏は、ビーガンになることを決心し実行した経緯を、雑誌「Financial Times」と「New Statesman」に寄稿しています。
➡Philosopher Ray Monk: why I went vegan
今回はこれらの記事の内容を紹介します。
Why I became a vegan – and why you should, too
2017年10月、それまでベジタリアンですらなかった私が、ビーガンになると公表したことは、家族、友人、同僚を驚かせました。
私はソーセージが大好きで、週に数回はチキンを食べ、チーズなしの生活など想像すらできませんでした。
もちろん、私は長い間、畜産農業が問題のあるビジネスであることを知っていました。
誰もがそうであるように、私は、工場畜産の現場で、家畜たちが強いられた悲惨な現状の写真も目にしてきました。
しかし、どういうわけか、食料品を購入したり食べるときには、これらのイメージを心の奥底に押し込め見ないようにしていたのです。
私はまた、肉が多い食事は人間の健康に悪いものであり、肥満、糖尿病、心臓病など、先進国の健康問題の多くは肉食に関連していると確信していました。
肉への欲求が地球を破壊しているという報告書
「The Guardian」に掲載されたWWFの報告書は、私に衝撃を与えました。
それは、畜産動物用飼料の生産が地球に与えた甚大な損害に対し注意喚起すもので、「世界の生物多様性の損失の60%が食肉ベースの食事によるもの」であり、英国の食料供給だけでも、「国内および海外の推定33種の絶滅に直接関係している」と述べられていました。
私は畜産農業の環境への影響について調べ、文献や本を読み、そして、次の日、肉、卵と乳製品を食べることをやめると決めました。
あらゆる種類の肉を食べることを減らす(止める)ことが最も効果的な解決策
ビーガンになることは、今、私たちの環境を助けるために誰でもできる最善のことだと確信しています。
畜産農業は、継続することが許されない規模で、地球に甚大な損害を与えています。
たとえば、畜産は気候変動の主な原因であり、世界中のすべての自動車、飛行機、船の生産よりも多くの温室効果ガスを排出しています。
さらに、問題のガスは主にメタンと亜酸化窒素であり、どちらも二酸化炭素よりもはるかに有害です。
EUが排出目標を達成できる唯一の方法は、肉ベースの食事からの大幅な移行を通じてのみであるという結論に達した最近の研究がいくつかあります。

集約的な畜産農業の悪影響は、Compassion in World FarmingのCEOフィリップ・リンバリー氏が、著書『Farmageddon and Dead Zone』(邦題『ファーマゲドン 安い肉の本当のコスト』のなかで詳しく述べています。
しかし、この本の中でリンバリー氏が提案する策はまだ十分ではありません。
彼は、放牧による伝統的な混合農場への回帰が解決策だと考えています。
残念ながら、そうではないという説得力のある報告書が、オックスフォードのFood Climate Research Networkによって発表されました。
筆頭著者であるタラガーネット博士は、「家畜の放牧は、他のすべての家畜と同様に、気候問題に関わりがあります。単に牧草で育てた牛肉に切り替えても問題は解決しません。あらゆる種類の肉を食べることを減らす(止める)ことが最も効果的な解決策です」と述べています。

豚肉、鶏肉、または卵を食べると、生物多様性の大幅な減少に影響します。
牛肉やチーズを食べたり、牛乳を飲んだりすると、地球温暖化の原因になります。そして、魚を乱獲し食べることが世界をどう変えているかを知りたいのなら、チャールズ・クローバー氏の本を読むべきです。
動物製品に対する現在の需要は持続可能ではなく、それを満たそうとすることで甚大な影響があり、今すぐに変える必要があります。
ビーガンの時代が来た
いくつかの良いニュースもあります。
National Academy of Sciencesの報告書で発表されたオックスフォードの研究では、現在から2050年までの4つの異なる食事スタイル(肉が多い、肉が少ない、ベジタリアン、ビーガン)の健康への影響をモデル化しています。
私たちがより少ない肉を食べれば、2050年までに年間500万人の死を避けることができると結論付けました。
ベジタリアンになれば、その数は700万人になります。
そして、ビーガンへの移行は、年間800万人の命を救います。
ビーガンになることは動物や地球にとって最高に良いものになるだけでなく、本人にとっても良いものになるでしょう。
信頼のおける研究結果が証拠として存在するにもかかわらず、一部の人々は、たとえそれが彼らの寿命を延ばすとしても、ビーガン食はひ弱になり健康的ではないと不安を示します。
ビーガンはしばしば、健康に悪く無気力になるといった根拠のないステレオタイプで語られることがあります。
しかし、レイ・モンク氏はこう言います。
私は体が軽くなり、エネルギーと活力にあふれ非常に良い気分です。
動物のために、地球のために、そして私たち自身のために、ビーガンの時代が来たという思いです。