Veganにとっても心休まる場所 ファーム・サンクチュアリとは

サンクチュアリLifestyle

先日、アカデミー賞を受賞したホアキン・フェニックス氏が、ロサンゼルス郊外の食肉処理場から牛の親子を助け出し、親子はその後ファーム・サンクチュアリで暮らせるようになった、というニュースが流れました。

『ジョーカー』ホアキン・フェニックス、牛の親子を保護する

日本にはまだ馴染みの薄い「ファーム・サンクチュアリ」とはどのようなものなのでしょうか。

今回は、ファーム・サンクチュアリについて、日本の物理的・文化的背景も含めて考えてみました。

サンクチュアリには野生動物の保護を含めた「アニマル・サンクチュアリ」も存在しますが、ここでは混乱を避けるため「ファーム・サンクチュアリ」に焦点を絞って説明します。

サンクチュアリ

ファーム・サンクチュアリとは

ファーム・サンクチュアリは、畜産市場で商品として扱われていた動物が、搾取や虐待・殺害の恐怖から解放され、安心して本来の寿命を全う出来る場所です。

また、動物が安心して過ごせる環境を作るだけではなく、宿泊施設を併設したり、イベントを開催するなどして、保護された畜産動物と触れ合う機会を提供し、差別や搾取について考える教育の場でもあります。

サンクチュアリ

ニューヨーク州”Catskill Animal Sanctuary ””の200年前の農家を改築した宿泊施設。ビーガン朝食やサンクチュアリの無料ガイド付きツアーもある。 出典:https://casanctuary.org/stay/

中には、中学校や高校の教師向けに無料のカリキュラムを提供し、畜産が地球環境に及ぼす影響や、食物システムと環境に関する科学的リテラシーの構築を目指す団体もあります。

➡オーランド、カリフォルニア、ニューヨークでサンクチュアリを運営する “Farm Sanctuary”“Sustainable Future Curriculum”

サンクチュアリ

出典:https://www.farmsanctuary.org/humane-education-environmental-curriculum/

このように、ファーム・サンクチュアリは、動物の保護施設という役割だけに留まらず、多岐にわたる活動を通して、次世代にむけた人間の活動が果たす主要な役割を提唱する場ともいえます。

ビーガンにとっても、苦痛から解放され、のびのびと幸せに暮らす動物達を目にすれば心の休息となることでしょう。

ファーム・サンクチュアリの運営

サンクチュアリ

日本では、馬、鶏、豚、ウサギ等を保護するサンクチュアリや、特定の環境で虐待的扱いを受けた動物を保護する施設等はありますが、海外のように大規模なファーム・サンクチュアリは存在しません。

海外のファーム・サンクチュアリは、そのほとんどが、大規模な寄付と無給のボランティアスタッフによって運営されています。

保護された畜産動物たちが十分幸せに暮らせるファーム・サンクチュアリを作るためには広い土地(たとえば、1986年設立の“Farm Sanctuary”はニューヨーク州北部で275エーカー[東京ドーム約24個分]の土地を利用し運営されています)や、それを運営するだけの資金とボランティア人材が必要です。

日本でファーム・サンクチュアリが普及しないのは、土地が少ないという物理的な面と、施設運営を助けるために寄付をするという習慣がない、畜産動物やアニマルライツ、アニマルエシックスへの関心が薄い(正しく理解されていない)という文化的な面の二つが障害になっていると考えられます。

小さなサンクチュアリ

先日、養鶏場に納品に向かうトラックから道路に落ちたひよこを家に連れ帰り育てている方がTVで紹介されていました。

太陽の光をいっぱい浴びて飼い主さんと過ごす鶏はとても幸せそうでした。

これもサンクチュアリの一形態で、いわば「小さなサンクチュアリ」ともいえるのではないかと思います。

サンクチュアリ

日本で、大規模なファーム・サンクチュアリの開設は困難だとしても、たとえば保護犬や保護猫などを、環境が許す範囲で家族として迎えることは、その場所がサンクチュアリとなり得ると思います。

環境が許すのなら、迎え入れる家族の対象を広げても良いでしょう。

もちろん、この場合も、以前より環境が悪化してしまっては新たな苦しみをもたらすだけですのでしっかりと考えて判断する必要があります。

それぞれが豊かな個性をもつ「個」としての動物達を身近に感じたら、それを人に伝えることで畜産動物にも関心を持ってもらうことが期待できるでしょう。